【学振】東京大学の採用者数が圧倒的に多いのはなぜか

こんにちは、Rayです。
今回は、学振採用者の受入研究機関について考えてみたいと思います。

学振の採用者一覧を見たことはありますか?
やけに東大生が多いんですよね。
優秀な学生が多いのか、単純に申請数が多いのか、はたまた、裏で大きな力が働いているのか、どういう事情があるのでしょうか?

学振DC1に採用された私が、採用されるまでの経験の中でこの件について考えたことを少しお話ししてみようと思います。

この記事で述べるのはあくまで私個人(東大生ではありません)の考えです。
たしかにこういう側面もあるのかも、くらいの感覚で読んでいただけると幸いです。

記事の内容

学振DC1の採用者の受入研究機関

学振の採用者一覧はJSPSが公開しています。

日本学術振興会
採用者一覧|特別研究員|日本学術振興会 日本学術振興会のページです。

2021年度採用分のDC1の受入研究機関を、受入数の多い順に並べると次のようになります。
(※採用者数が10人以上の研究機関のみ、機関名を個別に記載しました)

1位の東京大学の採用者数は、2位の京都大学の1.8倍、3位の大阪大学の3.9倍もあります。
また、この年の採用者の受入研究機関は全75機関でしたが、東京大学だけで全採用者の25%以上を占めていました。

Ray

東京大学の割合、かなり高いですね

ちなみに、DC2や、他の年度の採用者についても似たような割合となっています。

いわゆる旧帝大や筑波大学や東京工業大学などのハイレベルな大学が勢揃いの中で、圧倒的に東京大学の採用者数が多いのは何故でしょうか?
何か秘密があるのでしょうか?

東大生の割合が高い理由を考えてみる

申請者数が多い

実は東京大学は、学振の申請者数が圧倒的に多いみたいです。
九州大学の中嶋直敏特任教授が公開されている資料によると、2019年度採用分の7大学の申請・採用状況は次の表の通りだったそうです。

大学名申請数採用内定数内定率
北海道大学1493624.2%
東北大学1713721.6%
東京大学71119227.0%
名古屋大学1303123.8%
京都大学3789926.2%
大阪大学2213616.3%
九州大学1662420.5%
合計192646524.1%
2019年度採用分 特別研究員DC1の申請・採用状況(こちらからデータを引用)

表からわかる通り、東京大学は圧倒的に申請数が多いようです。
これだけ申請数が多いのなら、採用数が多いのも納得です。

東京大学は、他の大学と比べるとわずかに内定率が高い傾向もありそうですね。

以上のことから、

  • 申請数が多いこと
  • 内定率が高いこと

の2点によって、東京大学の採用者数が多くなっていると考えられます。
では次に、これらの傾向が見られる理由を深掘りしてみます。

申請数が多い理由

東京大学は他大学と比べて圧倒的に申請数が多いです。
私個人の考えでは、その理由は、

申請するのは当然という雰囲気がある

からだと思っています。

研究室の中に、学振に採用された先輩方、先生方がいると、学振の申請書を出す話を周りから持ちかけられる可能性が高くなります。

Ray

私なんて滅相もない…と思っていても、周りから声をかけてもらえたらやってみようかなという気になりますよね

大学から学生に対して特別研究員募集の連絡が頻繁にあったり、学振の説明会なんかがあったりもするかもしれません。
このように、学振の情報に触れる機会が多いことは、申請数の多さに直結していると思います。

阪大所属の私の場合も、研究室内に学振採用経験者が複数いました。

  • D進先輩:特別研究員DC2
  • ポスドク:特別研究員DC1、特別研究員SPD
  • 指導教員:特別研究員PD、海外特別研究員

こんな環境で博士後期課程への進学について話そうものなら、当然のように学振に申請する流れになりました。
本当にありがたい環境でした…!
私の所属研究科内では、こんなに学振採用者がいる研究室ほとんどないんじゃないかな?

この環境下で学振DC1採用まで漕ぎ着けた経験から考えても、やはり申請するのは当然という雰囲気があることは申請を決断する上でかなり重要だと思います。
東京大学にはこういう研究室、研究科がたくさんあるのではないかと予想します。

採用内定率が高い理由

年度にもよるとは思いますが、東京大学は採用内定率も高めの傾向がありそうです。
採用される割合が高い理由は、

採用されるためのノウハウが受け継がれている

からだと思います。

これは非常に重要なポイントです。
なぜなら、学振の申請書は少し特殊だからです。
論文のような堅いものではなく、ガンガンに自己アピールするエントリーシートみたいなものです。
過去の採用例などを一切見ずに、募集要項の指示に従って真面目に書くと、まぁほぼ100%不採用になると思います。
(ただでさえ採用率20%前後なので、これは大袈裟な話ではないです)

学振採用者を多数輩出している研究室では、先輩方の過去の申請書が残されているのはもちろんのこと、先輩や先生方からの全面的なサポートも得られていると思います。
研究科主催(?)で申請書の書き方講座を開催する大学もあるようです。
聞いた話によると、某大学の某研究室では、採用される申請書テンプレートが共有されているとかいないとか。

学振DCは多くの学生にとって、初めて出す申請書だと思います。
適切な書き方を学べる環境が整っていることは、採用されるために不可欠と言っても良いでしょう。

学振の申請書を書く際に意識すべきポイントについては下記の記事でお話ししているので、興味がある方は読んでみてください!

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まとめ

今回の記事では、学振採用者の受入研究機関について考えてみました。

学振の採用者が多い大学には、申請するのは当然という雰囲気採用されるためのノウハウが揃っていると考えられます。
博士課程への進学を視野に入れて研究室を選ぶ際には、その研究室で学振に採用された学生がいるかどうかを確認してみることをおすすめします。
その研究室の研究に興味があることが最優先ですが、幸せに研究を進めていくためにはお金のことも考えて研究室を選んだ方が良いです。

Ray

博士課程に進むより就職した方がお金には困らないですが、それは言わないでください。笑

東京大学は上記の2つの要素が充分に揃っているのだと思います。
東京大学の博士課程に進学するくらいですから、単純に優秀な学生が多いという側面もあるとは思いますけどね。

記事の中で紹介した採用内定率を見る限り、東京大学と他の6大学との間に大きな差はないようです。
つまり、東大生だからと言って優遇されているわけではないことがわかります。
裏で大きな力が働いているわけではなさそうですね!

どの大学へ行ったとしても成長できるかどうかは結局は自分の努力次第ですが、レベルの高い大学であるほど、努力しようと思ったときに得られる”機会の数”が多いんだなと感じたりします。

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この記事を書いた人

脳神経科学を専攻する大学院生です。
研究に取り組む中で直面した問題や、役に立ちそうな情報を共有しています。
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